甘いもん話

子どもの頃と好みが変わったもののひとつに和菓子がある。
昔、わたしは、餡ことか羊羹とかぜんざいとか、とにかく甘いばっかりのお菓子が大の苦手だった。ちょこっとなら食べなくもないけど、たいてい多すぎる。
近所の市場の角っこに和菓子屋さんがあって、今の季節だと草餅、桜餅、もうちょっと先だと粽に柏餅、暑くなってくると葛餅に水羊羹…と、季節季節の和菓子を母がよく買ってきていたけど、いずれも餡こが甘くて多くて嫌いだった。
皮(あるいはおもち)の部分はそれなりにおいしいと思ったのでもっと餡こがちょっとだけで皮がたくさんあればいいのに…とか思ってたぐらい。
三笠饅頭(あ、これも関西特有の言い方だっけ?東京でいう「どら焼き」だけど、「みかさ」のほうがどら焼きよりひとまわり小ぶりでお上品なような…)なんか、洋菓子好きの子どもたちの気を引くように母は「ホットケーキみたいやろ」とか言ってたが(笑)、なるほど皮の部分はホットケーキみたいでおいしいからそれに餡こなんか入れないで欲しい…と思っていた(笑)。
ぜんざい〔そういえばこれも関西でいうところの「ぜんざい」は関東では「田舎汁粉」だそうですね。関東で「ぜんざい」と呼ぶらしいほとんど汁けのない粒あんをあっためたようなのはこっちでは「亀山」(もしくは亀山ぜんざい)と呼びます〕とかお汁粉とかあんみつとかも、よくマンガや物語で女の子が好きなものとして描かれていたのが信じられなかったな…。
いまでは小豆の味のおいしさがわかるようになり(そもそも「豆」の味って好きなのだ!コーヒーであれチョコレートであれお豆腐であれ…そのことをますます自覚する今日このごろ)、美味しいお茶と一緒にいただく和菓子がとっても美味しく感じられるようになりました。でも、ま、昔近所で売ってたようなのと比べるとずいぶん口も肥えてきてるのかもしれないけど…。
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ちなみに関西でいう桜餅は、道明寺粉(粉と名はついても粉ではなく割れもち米みたいなもんね)の中に餡こ包んで桜の葉っぱをかぶせたもの。桜の香りがほんのりついて道明寺粉の食感が良くて(おはぎなんかより繊細で)佳いもんですが、安い和菓子屋さんだったりするとそのおもちの部分が安っぽいピンク色で染めてあってもひとつ…。