道を聞かれる

道を歩いてると思案顔の老婦人に呼び止められ「すみませんが□□病院ってどこにあるかご存知ですか?」と聞かれる。
ああ、それはもう慣れっこなのよ。わたしって道を聞かれやすいタイプ。なんせ旅先のニューヨークでもパリでも聞かれたんだから…。
そこはたまたま××病院の目の前で、近所には△△病院も○○病院もあるのだが、□□病院は全然別のとこ。おばさん、見当はずれのところに来ちゃったなと思いつつ「ここからはだいぶ離れてますけど…」と、どう説明しようか迷う。車で来たというのだが、わたしは運転しないので車の道を知らない。そこからだと抜け道もたくさんあるだろけど教える自信がなく、ま、バスが通るような幹線道路を教えておくとまちがいがないだろうと思い、「ちょっと回り道になるけど…」と説明し始めると、「あ、わたしが聞いてもわからないのでおとうさんに説明してあげて」と、ちょっと離れたところであさっての方向向いてる老人を「おとうさん、おとうさん」と呼び寄せる。
なるほどこのおとうさんのほうが運転してて、おかあさんは何もわからず助手席に座ってただけなのね。で、今度はそのおとうさん相手に説明し始めるのだが、こちらはなんだか明らかに態度悪いのよ(笑)。人が説明してるのにわたしの顔を見ず、わたしの指さす方向も見ず、ず〜っと顔を横に向けているし、返事は生返事。「はいはい、はい…わかりました」とか言うのだが、早く会話を切り上げたくてそう言ってるような感じ。なんか心中は「うちのヤツがいらんこと聞いたみたいですけどね。わたしはあんたなんかに教えてもらいたくないんです。自力で行けるのに余計なことをくだくだと‥」みたいに思っているのではなかろうか。最後「ありがとう」もなし。その場から離れて歩き始めたわたしの背中に、おかあさんのほうの「ありがとうございました」が飛んできたけど…。
おとうさん、ちゃんとわたしの言ったように行きましたかね? どうも、いざ車を動かし始めると「そう言ってたけどこっちから行けるはず」とかなんとか別の道行ってまたまた迷ってるのではなかろうか。
あれはなんなんだろ?ああいう人ってときどきいるな。「女に教わる」のが嫌なのか、そもそも何であれひとにものを聞きたくない変なプライドがあるのか…。「迷っても道を聞かないひとには完全主義者が多い」というけれど…。