観客層のちがい

この国では豊田四郎を見る観客層と、ジョニー・トーを見る観客層と、イメージフォーラム・フェスティバルを見る観客層がちがうという不思議…(それともあたりまえなのか?)。
このごろ香港映画とフランス映画が不当に虐げられてるなぁ…。ジョニー・トーの新作『PTU』も大阪ではレイトショーだけのロードショー。期間も短くてあやうく見逃すところ、映画の日の昨日ようやく駆けつけた。
見て良かった〜!見なかったらぜったい後悔してたところ(この画面の美しさはいかにハイヴィジョンでもテレビ放映やDVDではぜったいに再現できん。フィルムで体験してほしい)。(レビューは映画日記にて)。
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その『PTU』を上映してたシネヌーヴォの昼間の番組は豊田四郎レトロスペクティヴ。有名な作品はほとんど見てるし、テレビで(衛星放送の日本映画番組などで)よく放映するし、いくつか未見ので見たい作品もあったのだけど残念ながら日があわなくって、まだ行ってない。
まー行けばきっとこうだろうというロビーの雰囲気は想像つく(笑)。このコヤで、古い日本映画の回顧上映やるときはいつもそうなのだけど、まじめな(?)シネフィル学徒が寄り集まって、オールド映画ファン(俳優たち監督たちのキャリアや有名作品のストーリーがすべて頭に入っていらっしゃるたぐいの)の傾ける蘊蓄に耳をそばだてているという光景…。それはそれで微笑ましいのだろうど、どうもそういうなかには入っていきがたくて…(笑)。
『PTU』の観客らは、その豊田四郎の観客層とぜんぜん異なっているというのが不思議。昼間とレイトで雰囲気が一変する。
レイトショーの開場をロビーで待ってたら、豊田四郎の上映が終わってぞろぞろ出て来た人たちのなかには、ここでよく見かける映画ファンの人たちがいて、なかにはわたしの顔を見て知ってるひともいる。わたしが豊田四郎には来てなくてレイトなんかを待ってるのに「え?」という不審げな表情をみせて通り過ぎていく。
頭の後ろで聞いてると、誰かがもぎりのおねえさんに「レイトショー何やってるの?」とか聞いている。(『PTU』というタイトルだけではなんのことだかわかるめぇ。ジョニー・トーといっても香港映画ファン以外には何の価値もあるめぇ)。おねえさんが「香港映画です」とか説明しているのに対して、「香港映画?へぇ…」てなもん。そのひとが見たかどうかは知らないが、どうも映画ファンってこういうふうに分かれているのが理解できない。(古き良き日本映画ファンには香港映画なんて粗製濫造の娯楽作品ぐらいの認識しかないんだろうか?)
そういえば単館ロードショー作品(ミニシアター系ともアートシアター系とも…)ばかり追っかけてる観客層が、ともすればハリウッドのメジャー大作を馬鹿にして見ない(逆もまた真か。メジャー大作しか映画でないと思ってる人たちも…)というのも不思議。たしかにメジャー大作、パターンがわかりきってるのでついついパスしたくなるのだが、やっぱり見てしまうもんね。『スターウォーズ』もやっぱり見てしまうであろう…。