動物ネタが続きますが…

近所に老犬がいる。
犬の齢なんてわかんないけど、みるからに老犬〜って感じ(というか、このあたりに住み始めてからずーーーっとそこにいるので、かなりの齢にちがいないと思ってた)。おじいさんかおばあさんかは確かめたことないけど、雰囲気はじじむさい。柴犬系なんだけど黒い毛がかなり入ってて、顔にも鬚・もみあげ風に入ってるせいで顔つきがおっさんぽく、川谷拓三か、もうすこしじいさんぽく藤原釜足といったところか(喩えが古いって?(笑))。
酒屋の店先にいつも伏せの姿勢でちょこんと居て、行儀よくおとなしくしている。反応がにぶく動作もとろくて(このあたりも老犬ではないかとおもった根拠だけど)吠えるところも見たことないので、番犬の役割ではなかったろう。看板ばばあか看板じじいといったところか(笑)。いつもそこにいる光景はなつかしいけど、触ったり撫でたりということはしたことなくて、通り過ぎるときに「ああまたいる…」とちらりと見ていくだけだった。
それがつい最近、夜帰りしなに通りかかると、いつもの場所にいない。
あれ?と思って店のなかをのぞきこむと、その酒屋じたいが店をたたむらしく、店内のものをすっかりかたづけてあらかた空っぽにしたところへ簡素なテーブルだけ出して、お店のひと(おばあさんっぽいひととおじさんぽいひと)が、夏とてホトンド白の下着姿にみえるくつろいだかっこうで飲み物なんか飲んでいる。
老犬はそのあしもとにいつもの姿勢で伏せていた。
お店の中に入れてもらってるのを見るのは初めて。そのせいか、あるいはご主人のあしもとで食い物なんかをもらってるせいか、いつになく幸せそうに見えたな。
翌日とおりかかったときには、もうその店はシャッターを閉ざし、もちろん犬の姿も見えなかった。
その酒屋じたいもずいぶん古い店だった。立ち飲みなんかもしてて、たぶん古くからこの街にあったところなんだろうけど、わたしは一度もそこで買い物をしたことはなかった。
そういうお店は、ご主人らの世代が老いるとあとを継ぐひといなくて、こうして閉まっていくんだろうなぁ…。
犬は元気にしているだろうか?