赤い風船など

台風が近づいているみたいで、今日の天気予報は午後から雨。通り過ぎるとまた、涼しくなるかな?
 
しばらくは、朝夕が涼しく、昼間は残暑厳しい日が続いてました。
うちの南向きの部屋は、秋冬になると日差しが長く伸びて入ってきます。それが寒い日にはぽかぽかとても温かく、優しい日差しになるのだけど、ちょうど空気はまだ蒸し暑い今日この頃。午後からやたら部屋の中が暑くなって、家に居る日でも外へ避難する日が続いてました。
 
ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』Voyage du ballon rouge, Le (2007) 侯孝賢
が、素晴らしく良かったです。
『赤い風船』Ballon rouge, Le (1956) Dir:Albert Lamorisse
に続けてみたのですが(『赤い風船』も『白い馬』もずっと昔に見たことはあったのですが)
50年の時をへだてて、え?同じ街路?ってところが出てきます。
パリの街の昔と今を、同じ赤い風船が見守っているような気がしました。
 
侯孝賢版、いつもピリピリかりかりしているパリ女の早口フランス語と、中国人留学生の女の子のしゃべるゆったりとしたフランス語と、子どものしゃべる幼いながらにしっかりとマイペースのフランス語と・・・あらゆる登場人物の言葉の速度の差異とからみあいがすごく面白かったですね。
それぞれの生活のリズム(感情の、精神のリズム)がちがうんだけど、ときに他の速度に寄り添い、ときにはやりとりしあい、ときには支え合い補い合い・・・そういうのが目に見えるようです。
その生活のなかに、ピアノの先生やピアノの調律師、ピアノを運ぶ職人さん、フランス語で人形劇を演じる人々や音楽を伴奏する人々、閩南語で演じる人形師などが出てきて、それぞれのメティエとそこから出てくる仕草や言葉遣いも素敵。
室内シーン、屋外シーン、鉄道のシーン、窓などを外から撮ったり内から撮ったり、ガラスへの映り込みと透けて見えるものとを同時におさめたキャメラも素晴らしく、赤い風船がどのように人々の生活を見守っているかの視点をそのキャメラの視線であらわしているようでした。
ジュリエット・ビノシュって、これまできれいだと思ったことなかったけど(笑)(失礼!)、「ああ、このひとってきれいだなぁ…」と思うショットもあったし…。